不在者投票と期日前投票と

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巷では、今回の参議院議員通常選挙は盛り上がっているんだろうか?


自分のように内勤だと、外との温度差に驚くこともしばしばあるけど、少なくとも新聞とかテレビとかを流し見している感じだと、あまりにも盛り上がりに欠けていて、通常だと「盛り上がらない=浮動票が動かない=自民党圧勝」の構図が思い浮かぶところが、「浮動票が動かないんなら、組織票頑張る必要もないか」って感じで投票率そのものが低迷し、自民党の議席も思うほど伸びないのでは?なんていうヘンテコ予想も飛び出す始末なので、まぁ盛り下がってるんだろうなぁって思う。


そして自分の職場のような、いわゆる「従業員以外である程度の人数を収容する施設や機関」には「不在者投票」というものを実施するよう、お上から通達が来る。


メンドクサイんだ、これが。

「不在者投票」は、よく聞くであろう「期日前投票」と似たようなところもあるが、基本的に目的が違う。

「期日前投票」は、その名の通り「当日都合がつかないような場合でも、自分の選挙権を行使出来るよう、期日(=投票日)の前に投票を済ませてしまおう」という目的によるもの、だよね?


「不在者投票」の場合、「施設等に収容されていて、期日前投票や投票日当日の外出許可が出ず、投票会場に行くことが出来ない場合で、投票の意思を有する人には投票出来るように」という目的のもと実施される。


よって、この不在者投票を実施するよう求められる「施設等」とは、一般的には「病院」「介護施設」「刑務所」などとなる。


まぁ普通はちょっと外出許可出ないよね?


自分の職場は一応「病院」になるので、入院中の患者さんで投票の希望者がいれば、「不在者投票」が出来るよう対応する。


流れを簡単に箇条書きにするとこうなる。

①患者(家族)が病院に「不在者投票」の申し出をする。

②申し出者が所定の申込書に記載し、病院に提出する。

③病院は申込書を取りまとめ、各地区選管(選挙管理委員会)に、郵送で投票用紙を請求する。

④選管から申し込んだ方の分の投票用紙が郵送されてくる。

⑤病院で日時を決めて不在者投票を実施する。

⑥投票が済んだら、投票用紙を取りまとめ各地区選管に郵送する。

⑦実際の選挙日が済んだら、病院から選管へ、手数料の請求書を郵送する。


ね?なかなかメンドクサイでしょ?

しかもこれ、⑥の「病院で実施した不在者投票による投票用紙」は実際の選挙日の前日までに選管に到着している必要がある。

よって、何度か郵送で書類をやり取りしている関係もあり、結構時間に余裕を持ったスケジュールにしないと間に合わないことになる。


するとね?
例えば今回の参議院銀選挙なんかの場合、公示から選挙日までまぁまぁ日数あるからいいけど、選挙によっては公示・告示から選挙日までが一週間ちょっと!なんて短いものもあり、こうなると、公示・告示を待ってから準備したのではとても間に合わない。


実際のところ、公示・告示の段階では、上の流れでいうと②の段階くらいまでは進めておく必要がある。
つまり、公示前から、「もうじき選挙がありますよー!希望者は申し込んでねー!」という案内を院内に掲示しておく感じとなる。


これも、なかなか難しくてね。

病院ってそこそこ若い人とか元気な人とかも入院していることがあり、あるいは面会のご家族なんかがその案内掲示を見たりすると、「じゃあ申し込もうかな」って人は申し出てくれるんだけど、中には掲示に気づかず、「知らんかった!不親切だ!」っていう人もいる。


仕方ないんだけどね。

過去に、そういうクレームがついたことを重く見て、「職員から入院患者(家族)全員に声掛けで告知」したことがあった。


どうなったと思う?


「選挙があるんなら、私も投票させてもらおうかな?」
って感じの患者さんが続出し、その選挙は過去最大の不在者投票の人数となったことがある。


例えば、もともと選挙なんてわざわざ行く気も無かったような人でも、特に出かけなくても選挙が出来るんなら「せっかくだからやってみようかな?」って気になるもんじゃない?

そういった層が投票に手を上げた感じになった。


・・・まぁ、悪い話では無い。選挙の意義としては。

だけど考えてみて?

いろいろ書類のやり取りして、当日は数時間に渡って職員4~5人は拘束されて、一応「1件いくら」で手数料の請求が出来るけど、とてもじゃないけど割に合わない。

そんなもののために(失礼)、従業員が勤務時間を割いて対応するのって・・・ちょっと無理があるって思わない?


以来、うちの病院では「掲示による告知のみ」となった。

もちろん、それでも数人は希望者が出るが、そのくらいであれば業務量としてもなんとかなるボリュームとなる。


ただし、この場合でも大きな問題が残る。

それが「締め切った後に申込希望者が出た場合」。

実は、今回の不在者投票はこれがあった。


基本的に、不在者投票は「選挙日の前日まで実施することが可能」になっている。
だけど上で述べたように、選管に投票用紙を依頼し、貰って、記入した用紙を選管に届けるところまでを考えると、郵送の場合には最低4~5日の猶予が無いと厳しいことが分かると思う。


直接選管に出向いてやり取りすれば、例えば一日で全てを終わらせることも可能には可能だけど・・・人件費や交通費などの経費、どこかで出してくれるかねぇ?という本質的な問題にぶつかる。


よって、うちの病院の場合、「選挙日の一週間前に申込を締め切り、選挙日の4日前の水曜日に不在者投票を実施」という流れにしている。

それでも結構ギリギリになる。特に件数が多いと。


そして申込を締め切り、「いよいよ明日、不在者投票をする日」となる選挙日前週の火曜日、病棟の看護師から内線が入った。


「あのー、患者さんのご家族さんが、不在者投票をしたいって言ってきてるんですが・・・」

内心、「来た!」って思ったよ。



このタイミングでは、人づてに説明しても伝わらないので、直接患者さん家族と話してみると、どうしてもやりたいわけではないが、可能ならやりたいとのこと。


断ってもいい。

この場合、このタイミングであれば、断ってもそれほど問題にはならない。

実際、今までもこのタイミングは断っていた。

よっぽどの人じゃない限り、ある程度の事情を話せば、「それじゃあ仕方ないですね。諦めます。」ということになる。




ところが、である。

「大丈夫ですよ。なんとかしましょう!」
って言ってたよ。


正直なところ、「一度はなんとかしてみたかった」という気持ちがあった、というのはある。

経費は・・・まぁ大幅に足が出るか、別に決算報告する訳じゃなし、自分のような適当人間に丸投げしている法人が悪い!ということにしよう。


さてこの場合、選択肢としては大きく2つ。明日の不在者投票に間に合うように投票用紙を準備するか、不在者投票の日時を2つに分けて、追加分は後日改めて実施するか。

いろいろ考えるまでも無く、明日に間に合うように投票用紙を準備したほうが、いろいろ手っ取り早いとなった。


その場で選管に連絡し、この時点では他の希望者の投票用紙はすでに病院に郵送されていたんだけど、「追加で希望者が出た。用紙は受け取りにこちらから選管に出向くので、用意して欲しい。」と伝えると快諾。


程なくして準備が出来たと連絡が入ったので、投票用紙を取りに行くついでに、自分の「期日前投票」もやっておくことにした。


だって、ほら、たまたまだけど、うちの市って選管が市役所内にあって、市役所ってところはこの時期「期日前投票」を実施しているから。


市役所に着いて、期日前投票の部屋に入ると・・・全部で職員8人詰めてたよ。


選挙って、いろいろと無駄なお金を使っているんだねぇ・・・と感じるのはこういう瞬間だね。


置いといて期日前投票。
これって、実際の選挙日に行くときに持っていく「入場券」が必要なんだけど、実はたまたま持ち歩いていた。


なぜか?


医師会が変なことを依頼してきたから!

曰く「期日前投票に行って、投票済証を貰って、選挙を盛り上げよう!」ってことらしい。


??よく分からん理屈だよね。

もともと日本医師会が強力にプッシュしている候補者が居るのは居る。

本音はその人に投票してね!っことなんだろうけど、そこまで赤裸々に言うのも憚られるのか、「皆で選挙に行って投票率を上げよう!」って感じになっている。


まぁそれなら、論旨として分からなくもない。


だけど、投票済証?

あぁ、投票済証ってこれなんだけどね。貰ってきた。

文字通り「投票に行った証」で、期日前投票に行った場合、投票が終わったところで申し出ればすぐにくれる。
くれるんだけど、これ、なんか意味あるの?

なんか、医師会で集めてるみたいなんだけど・・・


いやまぁ、なんとなく、医療系従事者って投票率低そうな業種ではあるよなぁ・・・っては思うけど、でもそれと投票済証を貰うことと、なんか関係ある?


よく分からんことするよなぁ。


まぁそんなこんなで、自分の期日前投票を済まし、職場での患者さん向けの不在者投票も無事に終わり、選挙日はわざわざ投票会場に出向く必要も無くなってめでたしめでたしという訳である。



「ねぇA君、君も期日前投票行って貰っていい?投票済証何枚か欲しいって話だし。」
って職場同僚A君(過去のエピソード記事)に頼んだところ・・・



「嫌です!」


「えっ!なんで!?」


「いやだって、選挙行かないですから。」


「ええーーーっ!マジでーーー!」


「今まで、行ったことないっすよ。」


「ほえーーー・・・」


まぁ、いろいろな人が居るね、ということで。

病院に入院中なんて、その人にとって結構な一大事であるにもかかわらず、それでも自分の選挙権は行使したい、ってわざわざ申し出る人も居るかと思えば、こういう人も居るんだよねぇ。


「ちなみに、なんで?」


「え?だって、僕の一票なんかでは何も変わんないでしょう?」


んーーー・・・

言いたいことは分かる。

自分ひとりが投票に行く・行かないで結論が変わる局面なんて、多分一生お目にかかれないはずなので、その意味では間違い無い、とも思う。

間違いでは無いが、みんながそう思って行動しなくなれば、それが総意になってしまう。


そこが怖いところなんだよね。

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