介護保険とケアマネジャーと私

「部屋とYシャツと私」風に。

いやぁ、いい曲だなぁ。この曲を始めて聴いたころって、こういう風に一人の人を好きになることなんて無いと思ってました。今なら分かる気がするわぁ。

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・・・なんていう話をしたいんじゃなくって。

 

私ケアマネジャーなんです、ってこのブログで書いたことありましたっけ?

あーあったか、自己紹介でも書いてたっけ。実はそうなんです。鍼灸師の資格をとって、現在はケアマネージャーやってます。
ケアマネジャーってなんぞ?って言われると、介護保険制度での利用者さんのサービス利用(ケア)を管理(マネジメント)する仕事をする人のことです。略してケアマネって言われることも多いです。
管理というと、なにか堅苦しいイメージが強いですが、もっとくだけて調整役みたいなもんです。ただ介護保険という制度上、ケアマネジャーが計画に位置付けないサービス提供は出来ないルールになっているので、そういった意味では「管理」がぴったりです。

ざっくりと言えば、利用者さんが「○○が使いたい!」と言っただけでは使うことが出来ず、ケアマネジャーが制度に照らして「いいでしょう。」という判断をして、はじめて使うことが出来るということです。
なかなか偉そうな立場でしょ?

実際のところは全然そんなことないんですけどね。
むしろ介護保険がややこし過ぎる制度なので、その説明役と紹介役という役割のほうがメインです。
でも場合によっては、その人の生活全体をコーディネイトすることもある、結構責任の重い立場でもあります。人生変えちゃいますからね、マジで。

まぁ「やりがいのある仕事に就いてますね。」って風には言われます。「これからの仕事ですね。」とも。
これって鍼灸師の資格持っているという話でもよく出てくるフレーズなんです。
共通するのは、高齢者を相手にするので喰いっぱぐれることはないよね?っていうイメージなんじゃないかな?
年々増えてくる層を相手にする仕事だから、例えば子供相手の仕事よりもガツガツしたところはない、ってことはあると思います。間違いじゃないです。
ただケアマネジャーの場合、問題になるのは「制度」に乗っかっているという点なんです。

 

最近、「ケアマネジャー不要論」なるものをよく耳にするようになりました。これまでにも出ては消えてを繰り返しているんで、今更なんですが。
ありていに言えば、「あんまり役に立ってないんじゃねーの?ケアマネジャーさん?」っていうことです。
まぁこう言われちゃうと当事者としてはツライところなんですが、ただ何を根拠に?っていうと、ちょっと微妙な感じになってくるんです。

ケアマネジャーの仕事は~・・・なんて話になると、またどえらい長くなるので省略しますが、私が思うにケアマネジャーにいろいろな役割を振りすぎだと思うんですよ。
ケアマネジャーの仕事は(結局書いてるな)、一番には利用者さんのケアプランの作成なんです。介護保険を使うことで、利用者さんの生活の質を向上させたり、困難だったことを解決したりするのが仕事です。
そのためには、時には介護保険に無いようなサービスや社会資源を使ったり、計画に問題が起きれば修正したり、必要があればその人の生活全般に渡ってコーディネイトしたりすることもあります。

でもね、大切なことがあります。
ケアマネジャーはそれらを決めることは出来ません。
あくまで「紹介」したり「提案」したりするだけです。
その決定権は必ず利用者さん本人にあります。当然ですよ、自分の人生ですから自分で決めるに決まってるじゃないですか。
つまり実際には、ケアマネジャーが作成したケアプランに、利用者さんの意向・気持ち・感情といったものが反映されていくことになります。

これって結構無理難題だと思いませんか?
だって赤の他人ですよ?
多少話した程度で、その人の歩んできた人生とか価値観、性格や好みを踏まえたケアプランなんて、簡単に作成出来るわけがないじゃないですか。

ですから、ケアマネジャーはその利用者さんを知る事に全力を傾けます。単純に課題を解決するだけじゃなく、知った情報をどうプラン化すればその人が望むものとなるか?って部分に、本当に知恵を絞っています。

ところがこれをやらないケアマネが出てきます。難しいから。面倒くさいから。
機械的に、「こういう人の場合はこういうパターンで」みたいな感じで簡略化したケアプランを作成し始めます。あるいは、「このサービスを利用するにはこういうプラン」という、サービスありきのケアプランです。
そこには、「利用者さんの課題や意向」なんて存在しません。通り一遍の、「介護保険を利用するためのケアプラン」に成り果てます。

そりゃあ、言われますよね?
「ケアマネ、仕事しろよ!」って。
こんなの、誰でも出来るじゃないか!だったらケアマネジャー、要らないよね!?

これがこれまでの論調でした。
でもね、こう言われるようなことをやっている人、ケアマネジャー全体から言えばごく一部なんですよ。ほとんどは、真面目に利用者さんのほうを向きながら仕事しているんです。
ですからこういった批判は、あることは知っていましたがあまり意に介していませんでした。

それがちょっと変わってきたんですよ。
曰く、
「介護保険の負担が年々増大しているのは、ケアマネジャーが適正な給付管理をしていないからだ。」
「効果的な医療と介護の連携が図れていないのは、ケアマネジャーが医療的な知識に乏しいからだ。」
「介護予防の視点からのサービスを利用しているにも関わらず、予防効果が上がっていないのは、ケアマネジャーのアセスメント不足が原因である。」
「現に、今回の制度改正では介護と看護の一体的なケアシステムのモデルを構築しており、この場合にはケアマネ不在でも十分に利用者のニーズを満たすことが出来る。」

よってケアマネジャーは不要である、ということなんですが、これってね、ちょっと筋違いなんです。
はっきり言えば、介護保険設立当初、その目的とするところは、膨れ上がる医療費や介護費などの社会保障費用を圧縮する、という言うに言われぬ台所事情があったわけです。
ところが実際には、事前予想を大きく上回るほど介護保険の費用は膨れ上がっています。
その原因を「ケアマネジャーのせいだ!」って言われても、そりゃねーよって話です。
医療と介護の連携にしても、そういうシステムを設計したのはお上のはずなのに、いざ上手くいかなかったら「運用の仕方が悪い。」とか、いちゃもんレベルの言いがかりです。
介護予防もそう。人間は年取ると衰えるのが普通なんです。それを予防しようという取り組みは、とても大事な視点だと思いますが、予想通りの効果が上がらない理由にまでされるのは・・・ちょっと、ねぇ。

一方で、ケアマネジャーが利用者さんの生活を守っている、という自負もあります。
少なくともケアマネジャーが不要である、とは現在でも思っていませんが、どうもそうも言ってられなくなってきました。

政府の社会保障制度改革国民会議(会長・清家篤慶応義塾長)は2日、最終報告書案の各論部分を議論し、大筋で了承した。介護の必要度が低い「要支援」の人を介護保険のサービス対象から切り離して段階的に市町村事業へ移行させるほか、70~74歳の医療費窓口負担の1割から2割への早期引き上げなどを盛り込んだ。

【社会】 高齢者の負担増提言 社会保障、国民会議が報告書案 2013年8月2日 13時07分 中日新聞(CHUNICHI Web)より一部転載

最近新聞なんかでも目にしたんじゃないでしょうか?
要支援を介護保険から外すよってことです。
まだ決定じゃありません。あくまで「案」です。
ですが、ほぼこのまま決定になるでしょうし、あとはいつから施行するか?経過措置はあるのか?って部分が焦点になると思います。

これってどういうことか分かりますか?
「要支援の人は介護保険を利用する必要性が無い」から介護保険を外されたわけではないんです。
外さざるを得なかったということです。

数年前ですが、介護保険制度の改正案を決める会議のメンバーの入っている方からこんな話を聞いたことがあります。これは確か、軽度者の方の介護ベッドや通所系・訪問系のサービス利用が制限されたいきさつの説明だったと思います。
「介護保険制度は本当にお金がありません。ですから解決法としては、使うほうを減らすか、財源を増やすかするしかないのですが、皆さん税金を増やすとか保険料を増やすとか自己負担割合を増やすとか言うと、嫌ですよね?
そりゃもちろんそういったことも必要ですが、反対する人も多く、なかなか実現は難しいです。
だったら使うほうを節約するしかないです。
使うほうを節約する場合、結局のところどこを削るか?ってことが議論の中心になります。つまりはサービスの制限ということです。
そうすると、介護度の重い人と軽い人、どちらのサービスを制限するほうが、まだしもマシなのか?って話になります。
結果的に介護度の軽い人のほうが、そのサービスを利用出来ないことで困るケースが少ないのではないか?ということで決定したのが今回の制度改正です。」

こういう感じの話でした。はっきり言って数の論理です。社会保障制度で数の論理が出てくると、大抵少数切捨てとなります。
今回もそうですよね?
決して要支援の方は、介護保険を使う必要の無い方ばかりではありません。ただ、あくまで重度の方と比較すると、介護保険に頼った生活を送っている方は少ないだろう、というだけの話です。

もともと介護保険は「使いにくい保険」でしたが、だんだん「使えない保険」になりつつありますね。だってこれ、弱者に優しい制度じゃなくなってきてますよ。
使えるサービスを制限して、使える人を制限して・・・形骸化ってこういうことを言うんでしょうか?

 

さて、このままいくと、次はどこを切り捨ててくるでしょうか?
・・・って考えると怖いですよね。
次に来るのは、現在1割負担の利用負担額を2割に増やすとか・・・要支援のみならず要介護1あたりにも利用制限を拡大してくるとか・・・あとは介護認定制度を無くすとかも出ているそうですが、そういった案の中に「ケアマネジャー外し」も浮上しています。

もうそこまで切羽詰っているってことです。
ちなみに、介護保険料の増額とか消費税増税分の引き当てとかがあるじゃないか?なんて意見もあるかもしれませんが、全く足りないと思います。

もしケアマネジャーを外せば、介護保険制度は大きく変わることは間違いありませんが、さすがにそこまではしないだろう、という風に考えていました。
「ケアマネジャーは介護保険制度に必要不可欠である。」とケアマネジャーは思っているのですが、実はお上は違う風に考えているようです。
ケアマネジャーは不要だから外す議論をされているのではなく、切り捨ててもまだマシな部分はどこか?の視点からスポットが当たっているだけの事だとしたら・・・

あるいは、「ケアマネジャー外し」という結論ありきで動いているのかな?って思うようになってきました。

これが「制度」に乗っかっている職種の、一番困った部分です。
制度に振り回されることになってしまうってことです。

 

介護保険制度の関係者の一人として言わせて貰えば、介護保険制度の費用を劇的に抑制しようとすれば、一番手っ取り早いのは「利用者負担額を増やす」ことです。先ほど言ったように、1割負担を2割、あるいは3割にしてしまえば、制度に必要な費用は一気に半減するでしょう。利用者が半減するからです。
でもこれは利用できる人を激しく制限しているだけなんです。
これまでなんとか年金の範囲内でヤリクリしてきた人たちの生活を吹き飛ばすってことです。
完全な弱者切り捨てですよね?そんな社会保障制度なんて、どれほどの意味があるんですか?

そんな制度に変わるくらいなら、ケアマネジャーを外した介護保険制度のほうが、まだしもマシなような気がしてきます。
まぁそのようなことをツラツラ考えていると夜も眠れなくなってしまいますが、つまるところ、制度に乗っかるということは、そういうことだってことです。


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